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Wonderland

 初めて稲葉さんソロの『Wonderland』を聴いた時は、何か強く伝えたいメッセージがあるということは感じたけど、それがなんなのかよくわからなかった。「醜さは美しさに」ぱっと変わるって、どうしてぱっと変われるのか、理解できなかった。タイトルの『Wonderland』不思議の国のイメージと、歌詞のイメージが合わなかった。だけど、聴けば聴くほどにだんだんその深い意味を思い巡らせるようになってきた。

 日常生活のふとした場面でこの曲が流れるようになった。私の心の中で。人と意見が違うとき、やり方が違うときなど、人と自分の違いに気付くときに。あることに対して、自分のやり方に少しでも自信を持っていたり、自分のやり方をすきだったりすると、違うやり方をしている人に対して「こうすればもっと良くなるよ」と、ちょっとした優越感(というほどでもないんだけど、あえてそう書く)を持って教えてあげようとする場面があると思う。それは「好意で」とか「親切心で」とか、あるいは単純に「すきだから」もっとこうしたらよくなるよ、という風に話が進んでいくからだけど。でも、それは自分のものさし、つまり価値観で決められた「しあわせ」であり「正しいこと」なわけで。ある瞬間、
「君を変えてやろうなんて はずかしく思いあがり まるで天国かどこかに 導くように話しかけていた」
ことに気付く。
「見当違いの使命感を抱いて いったい僕はナニサマなんだ」
という部分を聴くと、自分がとても恥ずかしくなる。まったくこの通りだ、と。
 人の価値観の世界というのがまさに裏返しの世界、Wonderland。そこでは確かに、影は光に、醜さは美しさに、パッと変わる。自分の信じているものが、相手の価値観では信じられないものになるのだから。自分がガラクタだと思って過去に捨てたもの(価値観)も、相手にとっては今もこれからも大切なものだったりする。そういうことを考えていたら、何故か涙が流れてくる。いろいろ考えさせられる。

 この曲を深く考えるようになって、今まで以上に人との関わりのあり方だとか、相手の価値観と自分の価値観の違いについて考えるようになった。今までも自分なりに考えていたけれど。だからと言って、相手を尊重するあまり自分の価値観を相手に伝えなくするのは違う。関わり方や伝え方を大切にして、たくさん言葉を交わして相手との交流を深めたいし、本音で接していける自分で居たい。